○商品
共立医学叢書、共立出版株式会社(発行)、昭和56(1981)年12月5日初版1刷発行、216ページ、定価2500円
ISBN4-320-06043-1
○序文(本文)より
精神は肉体とは独立した高次なものと信じられているが、本書には精神機能を物質のレベルで説明するかのような表題をつけてある。しかしもちろん精神の物質的基礎が解明されたわけではない。筆者のとった一つのアプローチは、精神の病気をとりあげ、それに対応する脳の異常を、神経伝達の観点から整理しようとつとめたことである。(略)本書は「蛋白質核酸酵素」にシリーズとして連載したものを骨子に加筆して第2編とし、新たに第1編を書き加えて完成したものである。
○目次より
第1編 神経伝達物質の基礎 p.3
序論
1 γ-アミノ酪酸
2 グリシン
3 グルタミン酸、アスパラギン酸
4 アセチルコリン
5 セロトニン
6 ドーパミン
7 ノルアドレナリン
8 生理活性ペプチド
第2編 精神機能とその病態の神経伝達機構 p.65
9 精神分裂病とドーパミン
抗精神病剤(分裂病治療薬)について 抗精神病剤の抗ドーパミン作用 錐体外路性副作用発現の背景 抗精神病剤の受容機構をめぐる問題 アンフェタミン精神病 ドーパミンニューロンの脳における分布 抗精神病剤の作用する脳部位―辺縁系をめぐって― 分裂病の発症をめぐって
10 情動ストレス、不安と神経伝達物質
ストレスと神経伝達作動機構 抗不安剤と神経伝達作動機構
11 躁うつ病の中枢モノアミン異常仮説
レセルピン・うつ病 モノアミン酸化酵素阻害剤の作用 三環系抗うつ剤の作用 リチウムの作用 電気ショック療法、断眠療法 躁うつ病患者についてのアミンの検索 アミン仮説の問題点
12 サーカディアンリズムをめぐる神経伝達機構
計時機構としての視交叉上核 松果体とリズム 睡眠・覚醒サイクルと神経伝達作動機構
13 痙攣、てんかんに関与する神経伝達機構
抗てんかん剤の神経伝達機構に対する影響 痙攣と神経伝達作動機構
14 神経疾患における神経伝達機構
パーキンソン病 ハンチントン舞踏病 ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群 初老期痴呆
事項索引/薬物名索引
○奥付より
融道夫(とおる・みちお)
昭和33年九州大学医学部卒業。専攻精神医学、神経化学。現在国立武蔵療養所神経センター、室長、医博。主著『精神疾患の病因研究』(金剛出版、編著)、「鬱病」(有斐閣、編著)、『家族クライシス療法』(医学書院、訳)など。
○状態
40年ほど前の古本ですが書込みや折れなどなく良い状態です。全体に焼け、天部に埃汚れがあります。精神症状を神経伝達物質の働きから解明しようとした――現在の薬理作用研究の端緒となった希少な本書をお譲り致します。