理工学講座改訂物理学
青野朋義/東京電機大学出版局
2005/3/20 発行
〈解説〉
理工系大学の一般教養のテキスト。内容を全面的に見直し,徹底的に補足修正を加えた改訂版。
<まえがき>
この本は,理工系大学の教養課程,一般教育科目,自然科学分野の“物理学”の教科書として編集されたものである。1週間に1回,90分の講義で,1年間で物理学全般を一通り終わらせるということはなかなか難しく,多くの大学は2年次に“現代物理学”その他の名称で,専門基礎的な物理学の科目を置いているようである。それで,この大学の1年次で履修する“物理学”の範囲をどこまでにしたらよいかという議論は,その内容とともに,執筆者の間で数度にわたって検討され,古めかしい形ではあるが,一応電磁気学までとし,原子物理学的な章は割愛した。この本に続く“現代物理学”は近い将来にまとめられる予定である。
古めかしいと言えば,この本の体裁はB5判で,学生諸君の使う大学ノート,または学会誌や,科学雑誌と同じ大きさである。この大きさまでの本であれば,学生諸君の鞄の中でもそんなに違和感は与えずにすむ。標準的な教科書の大きさ,A5判をさけた一つの理由は,図をなるべく大きな形で挿入し,図から得る情報量を大きくしたい配慮があったためである。図版の制作に関しては出版局に多くの注文をつけ,上質紙を使ってある程度成功したように思う。
一方,B5という大きさにしたにもかかわらず,1ページあたりの字数を,A5判の本と比較して,そんなに多くしなかったため,貢数が多くなり,ちょっと贅沢な本ができ上がった。欧米には,よくこんな本があるが,日本規格B5の中で,スペースを広く取った,こんな教科書が1冊くらいあってもよいかもしれない。
さて,肝心の内容であるが,数人の執筆者による分担作業というものは,なかなかうまくいかない。古典的物理学の範ちゅうでも,物理現象を表現する方法は各人で若干異なる。それを他の人が別な言いまわしに改めると,書いた本人には不服な部分がどうしても出てくる。それで,文章的な統一を多少犠牲にして,各章を担当した執筆者の表現を尊重した形となった。この教科書を使って頂く先生方の御理解を願う次第である。
新しい本を作ると,どうしても多少のミスはさけられない。ミスを見つけられた方は,どしどし著者のほうに申し出て下されば幸いである。
1985年 11月
青野朋義
改訂にあたって
この「物理学」も上梓してから6年になった。使ってみて,内容的に多少不満が残る表現箇所も目につくようになった。なるべく早い機会に改訂版を出そうと,執筆者間での話し合いもあり,今回ようやく部分的な改訂をした版をつくることにした。出版局からの要請もあって,この機会に本の体裁を大学教科書として標準的なA5判にした。図は多少減少され,また貢数も多くなったが,執筆者等が最初に意図した“読者が書き込める本”としての体裁はまだ残っているように思える。この改訂版全般の校正は,尾林見郎氏が快く引き受けてくださった。厚くお礼を申し上げる。
1992年1月
青野朋義
(東京電機大学出版局より引用)
カバー全体に傷とヨレあり。使用に問題ございません。
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